「B級グルメ」は、安価で日常的に食べられている庶民的な飲食物のこと。
このページではA級・B級にこだわらず、
地域の人々に親しまれている食材を使った料理や、
地域の人々から愛されてきた料理の「ご当地グルメ」をご紹介しています。

肱川の恵みが育んだ
里芋のほっかほか料理

 肱川の河原では、秋が近づくと、「いもたき」がはじまる。鍋に里芋、鶏肉のぶつ切り、油揚げ、コンニャク、生しいたけを入れ、ダシに砂糖、醤油を加えて煮る「いもたき」は、旧暦8月15日の仲秋「芋名月」にふさわしい料理だ。
 「芋名月」とは、里芋の子を皮をつけたまま蒸し、三宝に盛って供えることから名づけられた。大地からの収穫の感謝を月に捧げるこの風習は、9世紀後半から10世紀ころにはじまった。里芋が日本に伝わったのは稲作のはじまりと同じ頃で、奈良・平安時代には重要な作物となった。
 大洲市特産の里芋は、長く煮ても煮くずれせず、口の中でとろける旨さがある。肱川の洪水によって運ばれた肥沃な土が、大洲の里芋を美味しくするのである。特に「勾玉」と呼ばれる芋は、味も姿も上品な逸品だ。里芋の美味しさは、川岸の人々の苦労のあとを物語るものでもある。洪水が里芋の味を左右するというのも、皮肉なものである。
 大洲の「いもたき」は、藩政時代、五郎河原に農民たちが鍋を持ち寄って行ったのがはじまりといい、大洲城を眺められる肱川の河原で大規模に行われている。
 この「いもたき」が大洲観光協会の肝煎りで行われたのは、昭和41年(1966)のこと。現在では多くの観光客を集め、八月下旬の「いもたき初煮会」では、大鍋でつくった千五百人分の「いもたき」が無料でふるまわれている。
 大洲だけに留まらず、国領川、加茂川、中山川、重信川、小田川、奈良川など、県内各地の河原でも「いもたき」が行われている。各地で、微妙に鍋の材料が変化するが、里芋の美味しさが味を左右するのは、変わりがない。
 特に、西条の加茂川で行われる「いもたき」会は、年間20万人以上を集まる大規模なもの。本家・大洲もうかうかとしていられない。

四国B級ご当地グルメ連携協議会(四B連)
一般社団法人 四B連企画
@